あらすじ

死からの生還、生き抜くこと

 

エルマー国の次代王ルージェン、実は7歳の時に亡くなった双子の兄の代わりに王子として育ってきたパーシア王女だった。

 彼女は18歳の成人式を前に、隣国のミシュナ国へ人質同然として、妹のアンシアを嫁がせなければならないこと、男として偽るのは難しい自分の身体の変化や、何より、王としての器は、従兄弟のライモンの方があると悩んでいた。

 ルージェンは、不治の病で痛みに苦しむ病人達のために、自らの死をかけて、賢者の森に住む魔術師達に会えば、癒しの技術を持ち帰ることができるという、言伝えにより、死者の国へ旅立つ覚悟をしていた。

 そこへ、エルマー国の首都モルドーの城下町に、旅の楽団員として周ってきたアザンが、狩で傷ついた者の手当てを見事に施術した技量を買い、ルージェンは病人を収容する僧院で薬師の手伝いをしてくれるように頼む。アザンは養母から、薬草などの手ほどきを受けて育ったのだった。

 午前中は王族学院で勉強させてもらうことになったアザン。王族学院には、ルージェン王子の妹二人、アンシアとアンジリーカに、従姉妹のサミュン姫、平民だが、才能を先王に認められて特別に王族と同じ家庭教師に学んでいるフリムがいた。

 やがて、ルージェンとアザンは死者の国へ旅立つことになり、アンシアはミシュナ国へ婚儀のため渡り、アンジリーカは、次代王となる従兄弟のライモンと婚約する。

 死者の国から無事帰って来たルージェンとアザン。しかしアザンに襲う不幸。父サホン卿の祖国、シャリム国へ留学していたサミュンと、フリムが帰国し、ルージェンを支えてくれる。

 その後、ミシュナ国のアンシアを救うため、ルージェンはミシュナ国へ渡る。

 王族学院で共に学んだ仲間達の人生の軌跡が描かれる。 

この小説の主人公達のモデルとなって導いてくれたNさん、Kさん、もう一人のNさん、感謝します。

2010年9月小説として書きました

 

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